断熱材の種類と特徴
住宅に使われる断熱材は大きく分けて3種類に分類されます。
①無機繊維系
無機繊維系の断熱材には、グラスウール、ロックウールがありますが、いずれも床・壁・天井と住宅のほとんどの部位に使用できます。厚さや密度が増えるほど断熱性が増し、安価で軽くて使いやすいのがメリットです。また、無機質なので燃えにくく、燃えても有毒ガスを発生させません。
但し、湿気を通しやすいという欠点がありますので、施工の際には防湿バリアーをつくるなど注意が必要です。さらに、自重によるへたり、湿気を含むことによる断熱性能の低下などの恐れがあります。
また、まれに外張り断熱工法にこれらの断熱材を採用する場合がありますが、へたりを防止したり断熱材を壁に固定するために、断熱材の間に木材の桟を設ける必要があり、その部分に関してはどうしても断熱材が途切れしまうという問題があります。
②木質繊維系
木質繊維系の断熱材には、セルローズファイバーやインシュレーションボードなどがあります。いずれも湿気を吸収したり放出したりする機能があり、それぞれ素材に古紙や木材が利用されているため、環境にやさしい素材といえます。
インシュレーションボードは一般的に断熱材としての性能に劣るため、畳床や体力壁などに利用されることが多く、単体として住宅全体の断熱材として用いられることはあまりありません。
もともとの素材が紙であるセルローズファイバーは、燃えやすく、吸湿したままではすぐにカビが発生してしまうため、対策として重量の10%~20%の毒性の強いホウ酸等の薬剤が添加されています。この件について、人体への影響を心配する向きがあるというのも事実です。
③発泡プラスチック系
発泡プラスチック系の断熱材に様々な種類がありますが、代表的なものを紹介します。
●押出法ポリスチレンフォーム...軽く防湿性に優れ、外断熱工法に利用されることが多い断熱材です。
表面には特に何の加工もされておらず経年変化が心配されるとともに、熱可塑性樹脂のため70℃以上の温度で熱変形、熱やせするのがネック点です。シックハウスの要因と考えられるVOC(揮発性有機化合物)スチレン(モノマー)が含有されているので
●フェノールフォーム...独立気泡構造を持ち、断熱性能に優れ、同じく外断熱工法に利用されることが多い断熱材です。
熱に強く熱やせなどの変形の心配はありませんが、水分を吸いやすい性質を持っているので、水害や施工時における湿気対策に注意が必要です。フェノールフォームそのものは燃焼性が低く炎が当たっても炭化するだけですが、表面を覆う不織布が燃えやすい性質を持っていますので注意が必要です。生成段階でシックハウスの要因と考えられるホルムアルデヒドを発生させるので、人体への影響が心配されるところです。
●硬質ウレタンフォーム(当社使用)...熱伝導率が非常に低く、断熱性能に優れる断熱材です。
硬質ウレタンは熱硬化性樹脂のため、一度硬化したものの熱による変形はありません。VOC関連は一切含有されておらず、人体への影響は心配ありません。
ただし、製品自体に難燃化処理を施していますが、石油製品のため木材同様燃焼します。燃焼の過程で700℃を超えると毒性のあるシアンガスを発生させますが、火災時の死亡原因となることはほとんどありません。
また、シアンガスはスーツ、カーペットなどの羊毛製品、さんま・あじなどの魚、ナイロン製品が燃焼しても発生します。